新宗教にとっては厳しい時代。千眼美子は幸福の科学の新しい“顔”になれるか?
【幸福の科学】を宗教学者・島田裕巳氏が徹底解説3/3
●新宗教にとっては厳しい時代。幸福の科学のこれから
島田…宗教観といえば、日本人には無神論者が多いと言われていますよね。ただし、実は歳を重ねるほど信仰心は強くなっていきます。極論すると、日本人の高齢世代はほぼすべては信仰者になる。ちょうど選挙の投票率のように年齢とともに右肩上がりになるわけですね。
トオル…たしかに若者の投票率は低いもんね。わかりやすい!
島田…仮に年輩の人たちにアンケートをとってみると「自分は仏教徒」と書く人が大半なはずです。ただし、ここで信仰するのはいわゆる新興宗教ではなく、文化として確立されているような神道とか仏教。「自分は仏教徒」というように大雑把なもので、細かな宗派は気にしないし、檀家意識も薄い。
トオル…寿命が近くなることも影響しているのかもしれないね。年齢を重ねるごとに信仰心が強くなる。とすると、高齢になってから新興宗教に入信する方も多いんですか?
島田…そのパターンは少ないですね。あくまでも大まかな信仰であって、お寺や神社に行くくらい。まあ、いわゆる献金もないし出費はお賽銭程度。面倒くさくないことが支持されている理由でしょうね。教団の力や檀家制度が弱まると、漠然とした宗教が増える傾向にありますね。
シズカ…今後新興宗教にとってはますます厳しい状況になるわね。教団の力が弱まると求心力もなくなって、信者も増えない。つまり、負のスパイラルに陥ってしまうわ。先生、この状況はこのまま変わらないのかしら。
島田…新興宗教が誕生したり多くの信者を集めるときは、社会が激動するとき。しかし、今はそういった状況ではない。そのため、セミナー程度で足踏みしている団体が多い気がしますね。あとは、「人の盛んな移動」も新興宗教の発展には重要です。なぜなら、人は寂しいと思うと宗教に頼ることが多いから。特に地方から東京に出てきた人は周囲に知り合いがおらず、寂しさを感じやすい。これまでは新興宗教がその受け皿となっていました。創価学会が信者の数を大きく伸ばしたときもそうでしたし、幸福の科学はバブルの頃だった。
トオル…でも今はインターネットによって繋がれるようになったよね。地元の友達とも連絡は取れるし、趣味が共通していれば知らない人とも出会いやすくなっている。
島田…だからこそ、幸福の科学にとってこれからが正念場です。ここでいかに信者数を増やすことができるかで、幸福の科学の将来が決まると言っても過言ではないでしょう。そういった意味では、千眼美子(清水富美加)さんの売り出し方にも注目です。
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